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59歳、毎朝妻に“悪口”を言われてるのに幸せな男。15年後も、同じ朝

第1話

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59歳、普通の朝

「パパ、行ってらっしゃい。プータン・イナモー」

朝7時前。

玄関でそう言われ、高柳は軽く手を上げた。

「行ってくる」

東京都内に住む高柳、59歳。
どこにでもいる普通のサラリーマンだ。

若い頃のような勢いはもうない。

朝起きると、まず腰をさする。
最近は階段を降りるだけでも膝が気になる。

それでも毎朝、同じ時間に起きて、同じスーツを着て、同じ電車に乗る。

それが高柳の日常だった。

リビングではニュース番組が流れている。

政治。物価。円安。
毎日似たような内容。

高柳はコーヒーを飲みながらぼんやりテレビを見る。

キッチンからはフライパンの音。

ジュッ、と油が跳ねる音がする。

妻のカレンが朝食を作っている。

「今日、雨降るらしいよ」

カレンが言う。

「マジか」

「傘持ってったほうがいい」

そんな、短いやり取り。

結婚15年目ともなると、会話は多くない。

でも、その少ない会話の中に、ちゃんと生活がある。

食卓には卵焼き、ウインナー、味噌汁。

時々フィリピン料理も出る。

最初は苦手だった味も、今では普通に食べられるようになった。

高柳は静かにご飯を食べる。

カレンはスマホを見ながらコーヒーを飲む。

特別な夫婦じゃない。

でも、悪い夫婦でもなかった。

出勤の時間。

高柳は玄関で靴を履く。

その背中に向かって、カレンがいつものように言う。

「パパ、行ってらっしゃい。プータン・イナモー」

高柳は少し笑う。

「はいはい、行ってきます」

高柳は、この言葉を「愛してる」みたいな意味だと思っていた。

昔、カレン本人がそう言っていたからだ。

だから高柳にとっては、朝の“愛情表現”みたいなものだった。

意味を疑ったことはない。

むしろ、その言葉を聞くと少し元気が出た。

外へ出る。

朝の空気は少し冷たい。

マンションの階段を降りながら、高柳は思う。

「まあ、悪くない人生か」

若い頃に想像していた人生とは違う。

もっと金持ちになってると思ってたし、もっと立派な家に住んでると思ってた。

でも、帰る場所がある。

待ってる人がいる。

それだけで十分だった。

高柳はまだ知らない。

この“プータン・イナモー”が、本当はかなり強い悪口だということを。


第2話

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フィリピンレストランで出会った女

15年前。

当時44歳だった高柳は、今より少し若かった。

だが、生活はあまり変わらない。

朝起きて会社へ行き、夜帰る。

休日はスーパーかコンビニ。

たまにパチンコ。

そんな毎日。

恋愛とは、だいぶ縁がなくなっていた。

結婚も半分諦めていた。

そんなある日。

仕事帰りの高柳は、普段通らない道を歩いていた。

残業終わりで疲れていた。

コンビニ弁当を買って帰るつもりだった。

その時、ふと一軒の店が目に入る。

小さなフィリピンレストランだった。

ネオンは少し古い。

中からは知らない音楽が聞こえてくる。

正直、入りづらかった。

でも、なぜかその日は足が止まった。

高柳は少し迷って、ドアを開けた。

「いらっしゃいませー」

片言の日本語。

店内には、日本人よりフィリピン人の客が多かった。

少し緊張する。

でも、不思議と嫌な感じはしない。

高柳は席に座る。

メニューを見ても料理名がよくわからない。

適当に頼んだ。

料理を待っている時だった。

厨房の奥から、一人の女性が顔を出した。

カレンだった。

髪を後ろでまとめ、エプロン姿で忙しそうに動いている。

派手ではない。

でも、妙に目が引かれた。

高柳は、その瞬間を後から何度も思い出すことになる。

カレンも、一瞬だけ高柳を見た。

そしてすぐ視線を逸らした。

ただ、それだけだった。

でも、高柳の中には妙に残った。

それから高柳は、その店に通うようになった。

最初は週1。

次は週2。

気づけば、仕事帰りにその店へ行くのが習慣になっていた。

料理が美味かったのもある。

でも、本当はカレンに会いたかった。

何度か通ううちに、少しずつ会話が増える。

「仕事帰り?」

「うん」

「毎日大変ね」

片言の日本語。

高柳の下手な英語。

でも、それが心地よかった。

高柳は久しぶりだった。

誰かと話すのが楽しいと思えたのは。

ある日、高柳は思い切って聞いた。

「今度、外で会えないかな」

カレンは少し黙った。

そして笑った。

「いいよ」

高柳は、その笑顔を見た瞬間、少しだけ人生が変わった気がした。

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第3話

プータン・イナモーの本当の意味

高柳は、今でも本当の意味を知らない。

「プータン・イナモー」

それはタガログ語で、かなり強い悪口だ。

日本語にすると、

「バカ野郎」
「ふざけんな」

かなり乱暴な言葉である。

でも、この話は、夫婦仲が悪い話ではない。

むしろ逆だった。

始まりは、本当に小さな冗談だった。

付き合い始めた頃、高柳はカレンに言った。

「フィリピン語教えてよ」

カレンは笑った。

「何知りたい?」

高柳は少し照れながら言う。

「愛してる、とか」

その瞬間、カレンの顔がニヤッとした。

「プータン・イナモー」

高柳は真面目に繰り返した。

「プータン……イナモー?」

「そうそう」

「これ、愛してる?」

「うん、そんな感じ」

カレンは笑いをこらえていた。

高柳は全く疑わなかった。

それどころか、嬉しそうだった。

「へえ、なんか響きかっこいいな」

それを見て、カレンはさらに笑った。

本当は、その場でネタばらしするつもりだった。

でも、高柳があまりにも素直だった。

だから言い出せなくなった。

そして、そのまま15年経った。

今では、完全に二人の“合言葉”になっている。

朝、仕事へ行く時。

「行ってらっしゃい。プータン・イナモー」

夜、ふざける時。

「パパ、プータン・イナモー」

高柳はそのたびに笑う。

「ありがとう」

カレンも笑う。

夫婦には、外から見ると意味不明な習慣がある。

変な呼び方。

意味のない会話。

何年も続く冗談。

でも、本人たちにとっては普通だったりする。

この夫婦にとって、“プータン・イナモー”はまさにそれだった。

言葉だけを切り取れば、悪口。

でも、15年の空気の中では、少し違うものになっていた。


第4話

15年続いた夫婦

高柳は59歳になった。

体力も落ちた。

仕事も楽じゃない。

若い社員についていくのも大変だ。

帰りの電車では、座れるだけで嬉しい。

でも、家に帰ると、カレンがいる。

「おかえり」

それだけで、少し安心する。

毎日ラブラブなわけじゃない。

喧嘩もする。

文化の違いで揉めたこともある。

味付け。

金の使い方。

家族との距離感。

何度もぶつかった。

でも、不思議と別れなかった。

次の日になると、また普通に同じ家にいる。

それを15年繰り返してきた。

夜。

二人でテレビを見る。

高柳はビール。

カレンはスマホをいじりながら笑っている。

「何見てんの?」

「フィリピンの動画」

「またか」

「面白いよ」

そんな会話。

若い頃に想像していた結婚とは違う。

もっとドラマみたいなものを想像していた。

でも現実は、

一緒にご飯を食べて、
同じテレビを見て、
同じ家で寝る。

それの繰り返しだった。

でも、その“繰り返し”が、実は一番難しい。

高柳は最近、それがわかってきた。

朝になる。

高柳はまたスーツを着る。

玄関で靴を履く。

カレンが言う。

「パパ、行ってらっしゃい。プータン・イナモー」

高柳は笑う。

「行ってくる」

本当の意味なんて、もうどうでもよかった。

大事なのは、15年間ずっと隣にいること。

完璧じゃない。

でも、ちゃんと続いている。

それが、この夫婦の形だった。

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