第三章 バーで働く女性たちが語った本音 ~罪悪感はないが、恥ずかしさはある~
アンヘレスについて語る時、多くの日本人が抱く疑問があります。
それは、
「彼女たちは今の仕事に罪悪感を持っているのだろうか」
ということです。
日本人の感覚では、この仕事に従事している女性は心のどこかで苦しみ、後ろめたさを感じていると思う人も少なくありません。
私自身も最初はそう考えていました。
しかし実際にアンヘレスで多くの女性たちと話をしてみると、日本人が想像するものとは少し違う現実が見えてきました。
日本人が考える「罪悪感」とは違う
私がこれまで話を聞いてきた女性たちの中で、
「私は悪いことをしている」
「罪を感じている」
という言葉を口にする人はほとんどいませんでした。
もちろん全員ではありません。
人によって考え方は違います。
しかし多くの女性たちは、
「仕事だから」
「家族を養うためだから」
「生活のためだから」
と答えます。
彼女たちにとっては特殊な仕事ではなく、収入を得るための手段の一つとして受け入れているように見えました。
家族を支えるという現実
実際に話を聞いてみると、多くの女性が家族を支えています。
両親への仕送り。
兄弟の学費。
子どもの生活費。
家賃。
医療費。
日本人が想像する以上に、一人の女性が背負っているものは大きいのです。
そのため、
「好きだから働いている」
というよりも、
「必要だから働いている」
という考え方が強いように感じます。
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地元出身の女性も多い
第一章でも触れましたが、アンヘレスで働く女性たちは地方出身者ばかりではありません。
私がインタビューした中では、
「アンヘレス出身」
「パンパンガ出身」
という女性も数多くいました。
つまり彼女たちは外から来た人間ではなく、この街で生まれ育った住人でもあります。
歓楽街は彼女たちにとって特別な世界ではありません。
子どもの頃から存在していた日常の一部なのです。
そのため日本人が抱くような強いタブー意識を持っていないケースもあります。
それでも恥ずかしさは存在する
しかし誤解してはいけません。
罪悪感が少ないからといって、何も感じていないわけではありません。
実際に私がインタビューをお願いすると、多くの女性が顔出しを嫌がりました。
写真を撮られるのを嫌がる。
動画を撮られるのを嫌がる。
名前を出されるのを嫌がる。
そういうケースは珍しくありません。
理由を聞くと、
「家族に知られたくない」
「親戚に見られたくない」
「友達に知られたくない」
という答えが返ってきます。
つまり仕事そのものは受け入れていても、公にしたいわけではないのです。
SNS時代の変化
昔は写真を撮られても、その場限りで終わることが多かったでしょう。
しかし今は違います。
TikTok。
Facebook。
Instagram。
YouTube。
一度ネットへ出てしまえば、世界中の誰でも見ることができます。
だからこそ撮影を嫌がる女性も増えています。
顔が映ることに対する警戒心は年々強くなっているように感じます。
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「かわいそう」という見方だけでは見えない
日本人は彼女たちを見ると、
「かわいそう」
「騙されている」
「仕方なく働いている」
そう考えることがあります。
確かにそういうケースも存在するでしょう。
しかし実際にはもっと複雑です。
自分で選んだ人もいます。
家族のために働いている人もいます。
短期間でお金を貯めたい人もいます。
起業資金を貯めている人もいます。
理由は一人ひとり違います。
だから単純に被害者として見ることもできません。
私が感じた本当の姿
私がアンヘレスで多くの女性たちと接して感じたのは、
「罪悪感は少ない。しかし恥ずかしさはある。」
ということでした。
仕事として受け入れている。
生活のために必要だと思っている。
しかし家族や友人には知られたくない。
だから撮影は嫌がる。
顔出しは避けたがる。
この複雑な感情こそが、アンヘレスで働く女性たちの本音に近いのかもしれません。
ネオンの向こうにいる普通の女性たち
観光客はネオンの光しか見ません。
しかしその向こう側には、一人ひとりの人生があります。
家族がいます。
夢があります。
悩みがあります。
将来への不安もあります。
彼女たちは特別な存在ではありません。
私たちと同じように生活し、悩み、将来を考えながら生きている普通の人間なのです。
アンヘレスを理解するためには、歓楽街を見るだけでは足りません。
そこで生きる人々の人生を見る必要がある。
私はそう感じています。
第四章 アンヘレスは本当に夢の街なのか ~世界中の男たちが集まる理由~ へ続く。
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